ザ・タウン


ベン・アフレックが共同脚本・監督・主演で制作されたクライムドラマ。
及第点を十分超える質の高い映画になりました。


あらすじ

アメリカ、マサチューセッツ州ボストン。ここにあるチャールズタウンは、

地元の人間に特別な意味を込めて「ザ・タウン」と呼ばれていた。

その理由はそこが有数の強盗の多発地帯であるとともに、その強盗が「家業」として

親から子供に受け継がれているという全米でも類を見ない街だったからだ。


そしてこの街で生まれ育ったダグも、その「家業」を受け継ぐ一人だった。

ある日彼は仲間と共に銀行強盗を働き、逃走の際に女性支配人を誘拐する事になる。

無事逃げおおせたダグ達は支配人を解放するが、彼女は同じ「ザ・タウン」の住人だった。


既にFBIからマークされていたダグ達は自分達に繋がる情報が出る事を恐れ
彼女を殺す事を検討するが、無用な殺人を好まないダグは仲間を説得し、彼女を監視する為に接近する。

しかしそこで犯罪被害者の心の傷に触れた彼は、いつしか彼女と心を通い合わせるようになったのだった。


やがて足を洗う事を決意したダグだったが、「ザ・タウン」のしがらみはそれを許そうとはしなかった。

「最後の仕事」として彼が引受けさせられたのはレッドソックスのホームグラウンド、

フェンウェイパークへの強盗計画。

ダグはあまりにも危険なこのミッションを切り抜け、過去の自分と決別する事ができるだろうか…



この映画は緊迫した強盗の場面やカーチェイスといった派手なシーンもありますが、

メインはベン・アフレック演じるダグをはじめとした「ザ・タウン」という街に生きる人間のドラマです。

作品全体を通して見ても、前述の派手なシーンや「ザ・タウン」の元締めとの関係などの

スリルを盛り込みながら、犯罪を職業にせざるを得ない環境で育った人間達をしっかりと描き、

その愛憎入り混じった関係の中で揺れ動く主人公の心理が伝わる作りになっています。


演出面でも作り手側があえて感情移入をしすぎず丁寧に作っている印象で、そのあたりは

どことなくイーストウッド作品のような客観性も感じさせてくれます。

エンディングも個人的には好みでした。


ベン・アフレックは「グッドウィル・ハンティング」がマット・デイモンとの共同脚本でしたから

制作能力があるのはわかっていたのですが、俳優としては出演作にあまり恵まれていなかった印象でした。

しかし監督デビュー作となった前作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」も高い評価でしたし、

この「ザ・タウン」でもしっかりと仕事をしていますので監督としての将来はなかなか有望なのではと思えます。


飛びぬけた魅力という意味で言えばまだ物足らない面もありますが

そこは将来性と考えれば、これからの作品に十分期待を持つ事のできる一本でした。



シャッターアイランド


「ギャングオブニューヨーク」や「ディパーテッド」などの作品ですっかりお馴染みになった
レオナルド・ディカプリオとマーチン・スコセッシのコンビが放つサイコ・スリラー。

レオナルド・ディカプリオ演じるFBI捜査官のテディ・ダニエルズは失踪事件を調査する為に
「シャッターアイランド」と呼ばれる島を訪れる。
そこは精神を病んだ患者や精神疾患と判定された凶悪犯が収容されるアッシュクリフ病院が
あるだけの、世間から隔離された島だった。失踪したのはそこの患者だという。

連絡船以外では島外に出ることもできない孤島の病院で、密室に近い状態の病室からどうやって、
そして何の為に脱出したのか?
事件の謎を追うテディだが、実はもう1つの隠された目的があった。
それは数年前に妻の死をもたらした放火犯、アンドリュー・レディスという男を探す事だった。
失踪事件とアンドリュー・レディス、そして謎めいた動きを見せるアッシュクリフ病院の人間たち。
相棒のチャックと事件の謎に迫るテディだが、事態は思わぬ方向に展開してゆく―

あらすじはざっとこんなところで、精神病院を舞台にした話です。
驚愕のラストだとか、いわゆるドンデン返しのあるサイコスリラーという触れ込みで
上映前には「結末を誰にも話さないで下さい」というアナウンスがあったり、
矢印を使った錯覚を見せて「謎を解くヒントをいくつ見つけられますか?」といった煽りが入るんですが、
正直言ってストーリー自体にそこまでの驚きはありませんでした。

この手の映画にありがちと言ってしまっては実も蓋もないのですが、隔絶された空間で
誰を信用していいのかわからなくなるというシチュエーションやその後の展開は
そこまで斬新というわけではなく、結末も個人的には順当と言ってもいいくらいです。
しかし斬新さとか驚きという意味ではそれほどでもありませんでしたが、内容そのものは
色々考えさせられるものがあり、見終わった後も強く印象に残りました。

印象付けとか映像の見せ方の上手さはさすがスコセッシといったところで、作品を通して安心して見られます。

この映画を見終わって、クリント・イーストウッドの映画に似た空気を感じていたんですが
後で調べると「ミスティック・リバー」と同じ原作者の作品だったと知って納得。

ちなみにこれを見た時はGW真っ最中だったのですが
あまりにエンターテイメントとはかけ離れた内容だった為か、見終わった後
「GWに何も満員でこんな暗い映画見なくても…」と思ってしまいました。

確かにスコセッシがこの作品撮る意味あったの?とか疑問が全く残らないわけではないのですが、
個人的には見ごたえがあって結構気に入った作品でした。
上でも挙げましたが「ミスティック・リバー」や「ミリオンダラー・ベイビー」といった作品が好きな方には
オススメの一本です。